ベッドサイドの看護
手術を拒否し続け転院した患者の看護—手術前看護を考える
山口 正子
1
,
伊藤 佳代子
1
,
小野寺 綾子
1
1神奈川県立厚木病院
pp.506-510
発行日 1978年5月1日
Published Date 1978/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918392
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はじめに
脊髄腫瘍の疑いのある53歳の男性が,下半身の知覚・運動障害の出現に絶望し,日々の生活に全く関心を示さず,無気力な状態で入院してきた.排泄自立への積極的な援助によって,車椅子レベルの日常生活が可能となったとき,生きる希望がわき,意欲的に生活行動の拡大を目指す機能訓練に励むようになった.
しかし,検査の結果,良性腫瘍と確定し,医師より積極的治療方針として手術を勧められ,私たちも全面的社会復帰を目標にともに勧めたが,終始かたくなに手術を拒み続け,転院し,手術を受け,悪性腫瘍で予後不良との報を受けるに至った.手術受容への援助過程に,患者の立場に立った真の看護を展開することができなかったケースとして反省し,日常の術前看護を評価するとともに,看護の方向性を探ってみたので報告する.御批判を仰ぎたい.
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