連載 医療ソーシャルワーカーの働きを検証する・36
MSWによる転院支援の有効性
立石 昌子
1
1東邦大学医療センター大橋病院
pp.668-671
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101511
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医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)の役割は,各医療機関,各地域により様々である.本連載は県立広島大学・村上須賀子教授(元MSW)の監修の下,MSWの働きを検証するために企画した.
今日の医療では,急性期病院,回復期リハビリテーション病院(以下,回復期リハビリ病院),療養型病院,在宅療養支援診療所など,医療の機能が分化しそれぞれの機関が連携しながら医療を提供しているため,患者が状況に適した治療・療養の場に移動しながらサービス提供を受けている.このような医療のあり方をここでは「移動型医療」と呼ぶことにする.東邦大学医療センター大橋病院(以下,当院)でも,急性期の役割を果たすために「移動型医療」を行っており,回復期リハビリ病院,療養型病院,在宅医療機関等との連携を欠かすことができない.
病院の機能分化による「移動型医療」が定着し,病病連携が急性期病院にとり必須のものになっているために,様々な形の病病連携が行われている.病病連携のあり方には,特定の連携病院とのルーティン化されたような,どちらかというと事務部門が主導で構築しているもの,医師が転院先を探し決定していくもの,そしてMSWが支援していくものなどに大きく分かれている.院内のリスクマネジャーからMSWが関わった転院支援について,患者・家族(以下,利用者)からのクレームがないことのフィードバックを受け,MSWが行う転院支援の利点を認識した.病病連携のどのタイプも一長一短があると考えられるが,本稿では医療ソーシャルワークのあり方と課題について考察する.
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