車椅子訪問記・6
‘お刺身’ルポルタージュ—最後の施設訪問
箙 田鶴子
1
1世界身体障害芸術家協会
pp.1046-1051
発行日 1977年10月1日
Published Date 1977/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918241
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リハビリテーション施設の訪問を終え,帰途につこうとしたが,地理的に近いのでいま1か所別の施設へ寄ろうと朝,出がけにA氏は計画してくれている.猛烈な長距離運転でくたびれ果てた感じの彼だったが,行きますか,の問いに,気の毒ではあるがもう2度と私のやっかいな体でこの種の訪問の機会はないかとも思うし,相当に辛い厚顔さだったが,行くことを頼む.
またまた大変な道のりを,うねりながら山を降り,平地をこれも気の遠くなるように感じる程走る.疲れからか彼は不機嫌丸出しの面,自分は意識していないだろうが,一触即発の感じで,いたわりの言葉をかけようにも私も疲れている.一言しくじったら大変なことになりそうで,ウィットも浮かばない.
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