‘生’と‘死’の選択—欧米の動き・2
第三者による補完的な判断—新生児のケース—人体実験—カレン判決
宮野 晴雄
1
1読売新聞
pp.937-944
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917971
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1.より切実で,緊迫した局面
医療技術の進歩がもたらした深刻なジレンマ—‘生’か‘死’の選択の問題を考える場合,絶望的な死への過程にあるケースとは正反対ないまひとつの局面,すなわち,著しい先天異常なり奇形をもって生まれた新生児を,治療せずに死なせるかどうかの問題を避けて通るわけにはいかない.いやむしろこの方こそが,最近の時点で,より切実な,緊迫した局面を形成しているといえよう.
治療を加えれば,確実に生存できるが,ただしそれは‘意味のある生’ではない,あるいは‘subhuman(人間とはいえぬよう)な生’にすぎないからとして,手術をせず,死を決定的にすることの是非の問題である.
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