人間関係・9
病院のなかの人間関係(1)
大段 智亮
1
1看護人間学教室
pp.1189-1192
発行日 1976年11月1日
Published Date 1976/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918022
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医療における人間関係の実状
2回にわたってリーダーシップについて述べてきた.それは,職場をはじめとしたさまざまな人間集団の,集団内で成立する人間関係については,そのリーダーが発揮するリーダーシップが,根本的に重要な意義を担っているからである.逆にいうと,その集団内部の人間関係をどのようなものに形づくってゆくか,その主導力となるものをリーダーシップと名づけているのだ,といってもよいのである.その集団のメンバーがバラバラでまとまりがないか,あるいは一致団結しているか,強固なるチームワークをつくりあげているか,は,そこでのリーダーシップのありようによって決まるといってもよい.もし,形式上のリーダーに真のリーダーシップが欠けているならば,だれかが代わりにその重荷を背負わなければならない.形式上のリーダーと実質上のリーダーがちがっており,その2人の仲が悪いときなど,その職場のチームワークはまことにみじめな状態となり,そこに形づくられる人間関係が極めてゆがめられた不健全なものとなる.そして,こういう事例はいたるところに転がっているのである.
そこで,リーダーシップは,現在の人間関係の問題における1つの基本的な要件といえるのである.毎日のマスコミが報じているように,いまや,われわれの社会は,上は国家の最高権力者たちから,下は1つ1つの家庭にいたるまで,真のリーダーシップを喪失してしまった状況にある.
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