医学講座
椎間板ヘルニア
若松 英吉
1
1東北大学医学部整形外科
pp.73-78
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917701
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.まえがき
椎間板ヘルニアとは,病理学的にみると椎間板の芯をなす髄核が,それを周囲から圧縮しながら取りまいている線維輪の枠から逸脱し,後方の椎管内へ脱出して隆起を形成した状態であり,臨床的には髄核の脱出に起因する隆起が根神経を刺激し,腰痛とか坐骨神経痛をおこした状態である。椎間板のあるところ,いずこにもヘルニアを発生しうるのであるが,腰椎とくに下部腰椎に多くみられ,それらが臨床的に意味をもっているので,椎間板ヘルニアというと,一般に腰椎部の椎間板ヘルニアをさす。
近時,椎間板は組織学的,物理学的,さらに生化学的に広くまた深く検索され,椎間板そのものの性質についてはかなり解明されてきたが,椎間板ヘルニアの発生過程については,いまだ十分に理解されているとはいえない。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.