ルポルタージュ・健康探検
ふくれあがる医療費—2兆5千億円の退廃をどうする?
平沢 正夫
pp.37-41
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917690
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家計簿にみる膨張の傷痕
雑誌『婦人之友』の読者たちが,“家計簿をつけとおす同盟”というグループをつくっている。この同盟がスタートしたのは1947年。太平洋戦争がおわって2年目,戦後の生活の荒廃がいちばんひどい時期だった。物資不足とインフレにめけげず,生活苦とたたかおうという趣旨から,家計簿をつけることがはじまったのだ。
同盟員たちの平均支出のうち,医療費,楽品代,保険費(社会保険費)の合計を,広い意味での医療費ということができる。その金額は,1950年617円,55年1,352円,60年3,029円,65年5,419円,69年8,353円となっている。これを総支出(貯金をのぞく)とのパーセンテージでしめすと,50年3.2%,55年3.4%,60年5.8%,65年6.1%,69年6.5%である。保険費(社会保険費)のなかには,健康保険以外の保険や年全もふくまれているが,家計支出との割合で,医療費がふくらんできたことはたしかである。
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