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特集 研究室で役に立つ新しい試薬
セカンドメッセンジャー関連試薬
GTP結合蛋白関連試薬
コレラ毒素
Cholera toxin
三木 直正
1
Naomasa Miki
1
1金沢大学がん研究所薬理部
pp.465
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905355
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■特性および構造
コレラ毒素はコレラ菌(vibrio cholerae)のが産生する,分子量約85,000の純蛋白質である1)。α,βサブユニットからなり,図1のような構造をしている。FieldやGreenoughら(1969)によりコレラ毒素の作用がcyclicAMPを介して作用すること,Finkelstein(1970)によりコレラ毒素が純粋な蛋白質として精製されたこと,毒素によるアデニレートサイクラーゼ(AC)の活性化にNADが必要である2)などの実験より,コレラ毒の作用がADP-ribosylatlonによることが証明された。これは,ジフテリア毒素の作用機作と類似している。疎水性のA1サブユニットに酵素活性が存在し,Bサブユニットは親水性で,5個ある。Bサブュニットが細胞表面のGM1ガングリオシドに結合すると,A1サブユニットが細胞膜に侵入し,GTP結合蛋白質をADP-ribosyl化する。したがって,コレラ毒と細胞をインキュベートしても,すぐにはACは活性化されず,数十分かかる。
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