医学と看護
新鮮熱傷の救急治療
平山 峻
1
1東京警察病院熱傷センター形成外科
pp.81-85
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917633
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はじめに
熱傷とは高温が直接人体にふれることにより起こる局所反応と,それにふずいして起こる全身反応とを総称する。その他熱傷の特殊な形として電撃症,強酸や強アルカリなどの化学薬品によって起こる化学症などがある。新鮮熱傷の治療上最も大切なことは,熱傷が小範囲の場合はあまり問題はないが,熱傷が広範囲の症例では,熱傷をうけた局所の治療よりも熱傷により起こるショックの予防に対する全身状態の管理が重大問題である。
しかしながら従来の熱傷に対する考え方は,熱傷をうけた局所部の療法だけに看護上の注意がむけられ全身状態の治療面への注意がおろそかになりがちな傾向にある。この事実は,わが国古来から民間にやけどに対する所謂“家伝の妙薬”が発達し,今もなおある地方ではさかんに使用されているのをみても明白であろう。
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