看声医語
耳をかす
宇治 正美
1
1長野県立阿南病院
pp.45
発行日 1972年1月1日
Published Date 1972/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917555
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入院患者のAさん──胃がんで開腹したが,胃の大半をおかしたがんは膵臓にべったりと抱きついていた.試験開腹に終っただけで,Aさんは外科から内科へと転科してきた.痛みと吐気を訴えつづける.
この42歳の,一家の柱を救うわけにはいかないものだろうか,と僕のいつものくせがそう考えさせる.医学書や医学雑誌に記されていることを,どの患者にも当てはめてよいものじゃない.
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