マイ・オピニオン
看護と看護記録を考え直そう
谷 あき子
1
1兵庫医大付属病院
pp.445
発行日 1975年5月1日
Published Date 1975/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917240
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病む人を看護する.医療が細分化し,専門化したなかで,私たち看護婦の仕事は何であろうかと,しばしば考えざるをえなくなる.適切な医療とは何であろうか.しかしprofessional nurseについて論じられるとき,病む人が目の前で,私たちの手助けを必要としているにもかかわらず,机上で論じられた観念的な看護論が飛び出してくることのほうが多いのではないだろうか.bedside nursingを行うとき,もう1度患者の側に立ってみてはどうだろうか.患者の要求は簡単です.それは病む心と体を気持ちよくいやしてほしいということでしょう.それは看護婦の側からみると,質の高いゆきとどいたサービスを期待されているということだと思います.
このサービスは,医療・看護上の高度な技術を要するものと,技術とは別に患者の精神面での強い要求とに区別されると思います.情報化の時代になんでもかんでもがコンピュータ化する傾向があり,それは多くの場合,非常に私たちの仕事の能率をよくしていることは事実であり,そのために救われる病人も多いでしょう.しかし病人が精神的・身体的,あるいは経済的な負担を覚悟して病院を訪れるとき,本来のホスピタルという言葉の意味のままに,患者を心温かく受け入れているでしょうか.
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