老人相談コーナーの目
老人看護と仇討ち意識
田中 多聞
1
1東京都老人総合研究所
pp.172-173
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917186
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在宅での有病老人と施設内の有病老人とは病気だけでなく老人患者がおかれている環境が全く異なる.自分の家と施設,居宅と病室,家族と看護婦,その他諸設備・器具など当然のことながら違う.その違いが長所と短所につながる.看護相談室を訪れる家族たちの多くは(東京で私の担当日では)在宅療養を望んでいる.
病院に入院を希望するケースでは,(1)一時的に入院させて治療を受けさせたい(急性期).(2)短期間入院させて訓練(主にリハビリテーション)させたい(急性期・慢性期).(3)家では面倒みれないので入院させたい(ケアが大変なので).などに大別される.特別養護老人ホーム(特養と略)収容を希望する家族では.(1)病院が入院させてくれない.(2)治る見込みがないといわれたので,しかたがない.(3)家族が皆疲れきってしまった.(4)このままでは妻が実家に帰るといい出し,家が崩壊する危険がある.
などが主な家族のいい分である.家族は病院と非治療的施設(特養)の特長を上手に使いわけている.別の考え方の家族もいる.入院させると手当が貰えるし,休業補償を貰えるが特養では貰えない.病院では筋が通るが特養では養老院のようで老人がかわいそうだし世間体が悪い.一方,病院ではお金がかかる(差額ベッドほか)が特養では無料でしかも付添いもいらない,体裁よりも実質をとる……など,さまざまである.
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