2色ページ 環境とからだ・6
放射線とからだ
星野 清
1
1名古屋大学環境医学研究所
pp.992-995
発行日 1974年9月1日
Published Date 1974/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917103
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1895年のレントゲンによるX線の発見以来,人類は多方面で放射線を利用するようになってきた.特に医学の分野では診断・治療での臨床的応用のみならず,基礎的研究での利用の増大もめざましいものがある.これらは単に使用量の増大というだけでなく,診断技術・治療技術の開発・進歩に伴って,その応用範囲はますます拡大し,使用される放射線・線源の種類も多岐にわたっている.
一方で,X線は発見のすぐ後で既に皮膚火傷などの人体に対する強い障害作用を示すことが知られ,広島・長崎の例をひくまでもなく,人類は多くの放射線障害を経験してきている.そこで,放射線の利用に当たっては,いかに障害を起こさずかつ有効に利用するかに留意し,防護設備の改善,診断技術の開発,照射装置の開発・改良がなされてきた.そのため以前のように特定の人(放射線科医師・技師など)か職業的に高線量に被曝して起こる障害の例は少なくなったが,放射線使用量の増大によって,たとえ低線量であっても,不特定多数の人々が被曝する機会が増えているという事実に注目しなくてはならない.
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