2色ページ 環境とからだ・1
環境医学の展望
石原 一郎
1
1名古屋大学環境医学研究所
pp.468-471
発行日 1974年4月1日
Published Date 1974/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916998
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1.環境医学の指向
現在,環境汚染,環境破壊という事態が人類の生存を脅かすものとして,世界的な関心をよんでいる.しかし,環境というものは,人間の生存を可能ならしめている条件そのものであるにもかかわらず,その異常が人間の健康を傷害し,疾病の発現をきたすときに強く意識され,そういうことがなければほとんど意に介されずにいるものである.
医学の歴史をみても,多くの医学上の進歩・発展が,環境における異常とそれによる人間の被害に端を発していることが見い出される.例えば,一定の微生物によって引き起こされる伝染病等の発見とその医学の進歩がある.この際,この微生物を病因とし,治療においてもそれを根絶することに努力が払われ,予防医学もそれを対象として行われる.
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