特集 環境衛生の動向
新しい環境衛生の展望
石丸 隆治
1
1厚生省環境整備課
pp.377-382
発行日 1969年7月15日
Published Date 1969/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203906
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まえがき
近年,わが国においては急速な経済成長,社会変動を示しているが,この状況に対処すべき問題はますます増加し,多様化している.今日,国民の日常生活上多発している環境衛生に関する諸問題をみると,経済成長,社会変動の速いテンポに対して,問題解決のための対策が遅れがちであったことを示すものが多い.衛生行政特に環境衛生行政は,国民生活の未来像を察知して問題の発生を未然に防止していくのでなければ,国民生活の向上は期待しえないであろう.すなわち,環境衛生行政の分野においては,長期的な視野に立ち,施策の方向を定め,施策を充実していかなければならない問題が多い.
われわれが今日当面している衛生行政上の問題点は,大別して3つのグループに分けられるであろう.第1のグループは,古くから国民生活の障害と考えられたものであり,すでに早い時代から社会的な施策の対象となって来た一群の障害である.すなわち,疾病なかんずく社会的影響の大きい急性伝染病や結核などの問題であり,あるいは栄養不足や乳児死亡の問題であり,さらには上水道やし尿処理施設などの基礎的な生活環境の不備の問題などである.
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