2色ページ 症状の病態生理・12
貧血
中野 昭一
1
1東海大学生理学
pp.348-351
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916975
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貧血とは何か
一般に,‘貧血を起こして倒れた’‘あの人は貧血症で顔がいつも蒼白い’などと貧血という言葉が広く使われている.しかし,このような場合,血液の量は十分にあっても,体内における血液の配分が偏り,脳内の循環血液量のみが減少して,いわゆる脳貧血という状態であることも多い.
一方,私たちが患者を診て,動悸・息切れ・めまいを訴え,眼瞼結膜や,爪甲などが蒼白い時に,まず考えるのは貧血である.貧血とは,文字通り‘血が足りなくなった状態’を意味しているが,血液の中でも有形成分の大部分を占める赤血球の病態で,この中には,血球・血漿を含めて全血液量が減少した場合,赤血球のみが減少した場合,あるいは赤血球の数は正常でも,その1個の赤血球の中に含まれるヘモグロビン(Hb)のみが減少した場合などが含まれている.
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