血液疾患診療メモ
貧血,とくに小球性貧血と大球性貧血
岡田 定
1
1昭和大学藤が丘病院・血液内科
pp.190-191
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900697
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日常診療で貧血の患者を診ることは多い.WHOの貧血の診断基準は,成人男子でHb≤12 g/dl,Ht≤39%,成人女子でHb≤11g/dl,Ht≤36%とされている.貧血をみたら,まず造血器以外の臓器に問題がある続発性貧血か,造血器に原因がある原発性貧血かを鑑別することが大切であり,つぎに,Wintrobeの赤血球指数,とくに平均赤血球容積(MCV)から貧血の鑑別をするのが有用である.
MCV(fl)=Ht(%)/RBC(106/μl)×10であり,
正球性:80〜100(90前後)
小球性:80以下
大球性:100以上
と判断するのが実用的と思われる.Hb,Htの数値だけにとらわれないで,MCVをみて貧血の原因を鑑別する習慣が大切である.MCVによって,代表的な貧血疾患は表1のように分類される.
貧血の中で,続発性貧血が約60%,鉄欠乏性貧血が約20%と圧倒的に多く,再生不良性貧血,溶血性貧血,悪性貧血などはかなり稀である.若年〜中年女性では,とくに鉄欠乏性貧血が多く,中高年者では悪性腫瘍,骨髄異形成症候群(MDS),悪性貧血が相対的に多い.
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