増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
11 併存疾患
血液系
貧血
中川 由紀
1
,
齋藤 和英
1
,
冨田 善彦
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野
pp.334-338
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205675
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疾患の概要
一般的に貧血は,何らかの要因で赤血球のヘモグロビン(Hb)が血液体積あたりで減少することである.Hbは酸素運搬を担う主要な構成物質であるため,貧血になると血液の酸素運搬能力が低下する.そのため,多臓器・組織が低酸素状態になり,さまざまな有害事象が発症する.貧血が進むと,酸素運搬のために代償性に血流量を増量し,呼吸量を増やすために,動悸や息切れを自覚症状として認める.しかし,徐々に貧血が進行した場合には,体が低酸素状態に慣らされるために,相当に強い貧血になるまで特に自覚症状がないこともある.そのため,貧血を併発する可能性のある症例については注意深くフォローする必要性がある.
病因別による貧血の分類を表1に示す.貧血の原因は大別して赤血球産生の低下と,破壊・喪失の亢進がある.このなかで,泌尿器科医に対応が求められる貧血は,①腎臓病(CKD)患者に認められる腎性貧血,②悪性腫瘍,薬剤,放射線,ウイルスなどによる造血細胞障害で認められる二次性貧血,③術後や尿路からの出血による出血性貧血である.本稿ではこれらを中心とした治療方針について述べる.
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