世相カセット
'72年 戦争の虚と実
大原 麗子
1
1テレビマン・ユニオン
pp.270-271
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916900
- 有料閲覧
- 文献概要
4,5年前に流行したアーミールックが,また姿を変えて登場してきました.以前のアーミールックは,もっぱらブラウン管の中やグラビアで,当時グループサウンズの頂点にいたスパイダースが,肩章・金モールつきのにぎにぎしい将軍服で,とんだりはねたりする姿に象徴されていたように,星の数を誇り時ならぬ威容を誇るものが,主流を占めていました.
それにひきかえ,当節のアーミールックは,迷彩服に落下傘の布地を使ったアノラック,ズック靴と実戦むき,メコンデルタの泥地からぬけ出てきた敗残のアメリカ兵さながらです.ボロっちいほどかっこいいらしいのです.私どもの年若いスタッフにもこの野戦服の愛用者がいて,ロケに出かけると,たとえば,冬枯れの播州平野の大根のぶらさがる農家の軒先を,カーキ色の戦闘帽がヒョコヒョコあるくという図になります.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.