2色ページ ライフサイエンス入門・7
分子生物学からみた生命
渡辺 格
1
1慶応義塾大学医学部分子生物学
pp.900-902
発行日 1973年7月1日
Published Date 1973/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916707
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ライフサイエンスのコトバの由来
近頃,ライフサイエンスというコトバがよく使われますが,それは生物の本体が解明され,生命の神秘のベールが次々とはぎとられてきたからだと思われます.また生命現象が,分子という物質のレベルで明らかにされるにつれて,逆に物質的に生命をコントロールできる技術も可能になってきました.今までの自然科学は,物理学や化学などの,物質とエネルギーを中心とした物理系の学問(工学もこの分野にはいります)と,動・植物や医学・農学などの生物系の学問に分かれ,その間に深いミゾがありました.
しかし,分子生物学などの発展で,このミゾが埋められ,自然科学は連続した真に1つの学問に総合されてきました.そして,この新しい総合的な自然科学の1つの目標が,人間生命の解明を目指す’生命の科学’となってきました.これを単に生物学と呼ぶと,旧来の動・植物学と混同されるおそれがありますので,ライフサイエンスというコトバが使われ始めたのだと思います.
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