ベッドサイドの看護
死を予期する患者への援助—内科領域における悪性腫瘍患者の場合
平田 満子
1
1神奈川県立成人病センター内科病棟
pp.691-698
発行日 1973年6月1日
Published Date 1973/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916666
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私たちの成人病センターでは,全患者の44.2%(昭和46年度)が,癌患者で占められている.癌と聞けば,どんな人も落胆し,失望し‘死’と直結して考えざるをえない.そして,その家族の悲しみも,いかばかりか想像を絶するものがあろう.そのような人生の悲劇を肌にいつも感じながら,少しでも患者が平安のうちに‘死’を迎えられるようにするには,どうしたらよいかと暗中模索する毎日である.
看護はケース・バイ・ケースであり,またこれでよいという究極の規準はない.まして人知を尽くしても救うことのできない人々に対する看護,すなわち‘死への看護’の場合は,残された限りある時間に行なわれるものであるから,特にこのことを胸にしっかりと刻まなければならない.そして,そのようなケースの看護を積み重ねつつ,知識と経験を深め,より患者中心の看護へと進むことが,私たちの務めであると信ずる.
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