東京看護学セミナー・第8回公開セミナーから・1 看護実践と法則性—日常の実践の中から法則性を発見する手がかりをつかむために
開腹術後患者の援助技術とその法則性を探るために
国分 アイ
1
1日赤中央女子短期大学教務部
pp.1341-1347
発行日 1972年10月1日
Published Date 1972/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916466
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はじめに
日常の看護が,ベテランのナースによってなされる場合の援助のわざは,そのナースが永年の患者を通しての実践体験の中で,こうすれば患者はらくになるようだ,とか,あるいは,らくになる,と確信をもって言いきれるほどのものであったとしても,その方法が他の者によって試されたり,広く伝承されることもなく,評価は,援助をうけた患者のよろこびとか,感謝となってそのナース個人にもたらされ,個人の満足感のみで終わっているのではないだろうか,そして,‘ナレ’とか‘カン’で行なっているわざは,単なる技能であって,科学的裏づけをもった,技術とは言えないのではないか.しかし,このように,患者を通して幾度かの体験の中で確かめられた援助のわざに法則性をみつけていったなら,看護は学問として体系づけられてゆくのではないだろうか……と,このようなことが最近特に,看護界で問題とされるようになってきた.
本日の会の主旨も,看護実践と法則性ということである.そこで,私のテーマは“開腹術後患者援助技術の法則性を探るために”とさせていただいた.
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