特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
d.開腹術後の合併症
開腹術後の壊死性筋膜炎
小西 富夫
1
1大森赤十字病院外科
pp.244-245
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900635
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■病態・病因■
壊死性筋膜炎は皮下を這って広がる広汎な浅筋膜とその周囲組織の壊死を特徴とし,重篤な全身性変化を示す比較的稀な感染症で,四肢に好発するが,その他,腹部,会陰部などにも発症する.人種差,性差はなく,あらゆる年齢層に起こるが,中年層に多い疾患である.
本症の多数例の詳細な報告がなされたのは1924年のMeleneyl)が最初で,全例にhemolyticstreptococcusが検出されたことより,病因論的観点からhemolytic streptococcus gangreneの名称が用いられた.しかしながら,その後本症の起炎菌が必ずしも溶連菌だけではないことが判明してきたことから,Wilson2)は,この疾患に特徴的で普遍的な所見である浅筋膜の壊死を重視してnecrotizing fasciitisと呼ぶことを提唱し,現在ではこの疾患名が一般に採用されている.
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