マイ・オピニオン
看護婦としての自覚を
近藤 知恵子
1
1北海道大学医学部附属病院脳神経外科
pp.713
発行日 1972年6月1日
Published Date 1972/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916343
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患者中心の看護が叫ばれて,久しくなる.そして,看護界の誰しもが一度は口にし,多少ながら老えてきたと思われる.にもかかわらず,臨床における症例研究発表をみるにつけ,患者中心の看護は単に言葉としてのみ,脳裏に刻み込まれているような気がしてならない.そこにおいて,私は,患者中心の看護の追求に相違があり,看護職における看護婦の職業意識の欠如を考えてしまうのだが….
患者中心の看護の追求は,人格尊重を基にし,既存の学問を応用分析し,人間を科学的にとらえ,新しい実践的学問へと発展させる試行過程でなされるのではなかろうか.理論はともあれ,実践に移すさいどうしても乗りこえなくてはならないことがある.それは,看護とは,あくまでも個人プレーでない点である.患者は複数の人人に取り巻かれている以上,看護婦間に統一し,計画されたケアが,なされなければならない.グループ(臨床チーム)で計画的になされなければ,症例のプロセスレコードの積み重ねは,何の信頼もおけないものとなってしまうのではなかろうか.
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