明日の検査技師に望む 臨床検査医学の立場から
プロとしての自覚を!
工藤 肇
1
1弘前大学医学部臨床検査医学講座
pp.1620
発行日 1989年12月1日
Published Date 1989/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205284
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1.考える検査技師に
現在の医療短大の前身の弘前大学医学部附属衛生検査技師学校が発足したのが,今から22年前の1967(昭和42)年でしたが,いつも学生の皆さんには「"考える検査技師"になってください」と言い続けてまいりました."考える検査技師"というのは常に物事に疑問を持つ技師のことを指します.
古い話ですが,ペニシリンを発見したフレミング博士は,菌を培養した培地をほったらかしておいたら,雑菌の青カビが生えて,その周りの菌の発育が抑制されているのを見つけました.普通の人なら,雑菌混入で実験は失敗といってそのシャーレを捨てるところです.毎日のルーチン検査に追われて疑問を持っ余裕がなくなるのは,大変悲しいことです.しかし雑誌『検査と技術』の<けんさ質問箱>を見て,疑問を持つ検査技師,考える検査技師がたくさんいることを知って安心しました.9月号に「透析患者の血清の色調が正常なのに,ビリルビン値が2mg/dlにもなるのはなぜですか」という北海道のKさんの質問がありました.学問の知識も大切ですが,身近に起きた疑問を一っ一つ解決していくのが一番大切なことだと思います.できれば,その疑問について自分で実験してみて謎解きをしたいものです.文献を読んだり,専門家に尋ねたり,学会に出席したりすることも大切です.成果が出たら学会に発表してみるのも,人の意見や批判を受ける意味でも大切なことです.
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