疾病の病態生理—最近の考え方・5
高血圧
岡田 文郎
1
1大阪大学医学部第一内科
pp.652-655
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916327
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はじめに
我国では,脳血管障害による死亡率が,成人の死因の第1位にランクされ,しかも年々他の死因との差が開きつつある,といわれている.このことが,日本の風土,生活様式,食生活,個人の遺伝素因に負うところが,多々あるとしても,何より予防並びに治療の遅れを忘れてはならない.脳血管障害,特に脳出血においては,その発症要因として,高血圧症が大きな役割を演じている一方,動脈硬化促進因子の1つとしても,高血圧症が挙げられている.これらのことより,高血圧症の予防.治療が脳血管障害の予防・治療につながると同時に,死亡者を減らし,またその後遺症に悩む入々を,少しでも少なくすることにつながることは,言を待たない.
本稿では,高血圧症を知る唯一の検査手段である血圧測定について,詳しく述べ,高血圧症の原因.診断・治療の概略について簡単に触れたいと思う.
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