視・聴・画
〈制度外映画〉の出立/ポルナレフのロック/国立美術館と大画家
松田 政男
1
,
青木 彪
2
,
梶 五郎
1「映画批評」
2「美術手帖」
pp.414-415
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916281
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早いもので,このコラムを担当してから1年が過ぎ去ってしまった.70年代初頭のこの1年,映画—日本映画ばかりでなく世界映画の形相が,徐々に,かつ急速に変容しつつあるさまを,私は11の〈視〉角から何とか捕捉しようと試みたのだが,その企図は果して成功したのだろうか.以下,さらなる舌足らずを承知で,若干の総括を試みなければなるまい.
日本=世界映画の現水準は<制度としての映画>の解体が,日々,加速化しつつあるところにある.<制度〉の解体は,さしあたり,内と外との両局面において進行し,両者はそれぞれ相互に規定し合いからみ合って,いわゆる映画の危機を醸成している.1年前,5社体制と呼ばれた目本映画の外的な<制度>が,今日では,大映の倒産と日活の矮小化によって解体過程に追い込まれてしまっていることは,もはや誰の眼にも明らかなことだろう.しからば内的な<制度>の解体とはいったい何を指示しているのだろうか.
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