世相カセット
1971年“ふるさと”とは何なのか
大原 麗子
1
1TBSテレビ報道制作部
pp.122-123
発行日 1971年5月1日
Published Date 1971/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916040
- 有料閲覧
- 文献概要
まぎれもない“ふるさと”ブームである。“故郷”“ふるさと”“故里”と名のる店が,東京都内で80軒を越えるという。国鉄は“ディスカバージャパン”を連呼し,テレビをひねると“オカァサァーン”と人間の遠吠えが尾をひいて消える。
“男はつらいよ”ご存知フーテンの寅さんの映画が100%に近い入りだと聞く。「俺には帰るところがあるからなァ…」寅きんのふるさと,カツシカ,シバマタ,タイシャクテン,東京の下町の一地名が,日本全国をかけめぐる。“花嫁は夜汽車にのって…”はしだのりひこクンのふるさとフォークが若い層に受ければ森進一クンの新曲も“望郷”だという。もっともこちらは“女心のふるさとは,忘れたはずの男の胸よ…”と相も変わらぬ女心路線を,今度はふるさとのコロモに包んで売りまくろうという,やや露骨な便乗スタイル。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.