あなたのなかの現代
“多少の正義”にまどわされるな—安保・沖縄問題をハグラカしたマスコミ
鈴木 均
pp.118-119
発行日 1971年3月1日
Published Date 1971/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915979
- 有料閲覧
- 文献概要
三島ブームでジャーナリズムがわきかえっている昨年12月13日,朝日新聞は,沖繩の米軍事法廷が主婦をひきころした米兵に無罪判決をいい渡し,現地の住民が怒りにふるえているという,あまり大きくない記事をのせた。翌14日那覇発共同は,12日から13日にかけて那覇市やコザ市で米兵による強盗,窃盗事件が続いて3件も発生したことを伝え,16日毎日新聞夕刊は,去る7日夜,具志川市で小学校6年生の少女が米兵に暴行されそうになったことが明らかになったと伝えた。
それよりまえ,12月4日,米国防総省は,沖縄に配置した毒ガス兵器の一部150トンの積み出しを近く開始すると発表,このさい,残りの12850トンは72年初めになる見通しだという事実が明らかにされた。これは昨年9月レアード米国防長官が中曽根防衛庁長官に示した「71年初めまでに大部分を撤去」という約束が,事実上,反古にされたことを物語っていたのである。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.