Medical Topics
経口避妊薬とエストロジェン,他
E.M
pp.96-97
発行日 1970年8月1日
Published Date 1970/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914984
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現在の避妊法のなかでもっとも進歩したものの一つとして経口避妊薬がある。一般にpillといわれているものである。その効果がきわめてすぐれているにもかかわらず,副作用のひとつとしての血栓症が問題になっている。Pillというとなにか一つの決まったものと考えているひとが多いようだが,実際には薬の内容からいってもその含有量からいってもいろいろの種類があり,いずれも避妊効果は100%に近いが,作用の点でだいぶ異なっている。
現在もっとも多く用いられている経口避妊薬は1)エストロジェン(卵胞ホルモン)とプロジェステロン(黄体ホルモン)との合剤の20〜21日投与法,2)はじめエストロジェンを15〜16日投与し,その後合剤を5〜6日間投与する順次投与法,3)ミニピルと呼ばれる少量のプロジェステロンを連続長期投与する法の三者がある。血栓症や癌に関連するのはエストロジェンであり,したがって上の1),2)のエストロジェンの量を減らせばよいということになり,事実1日の投与量を0.05mg以下にしなければならないと主張している英国の学者もいる。これに対し米国では血栓症がある程度増加することは認めても,量を0.05mg以下にした方がよいという実験的根拠のないこと,たとえ血栓症が多少あってもそれに代わるだけの有効な避妊法がないことをあげ,pillの効果をなお大きく評価していることに変わりない。
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