Medical Topics
人工流産と経口避妊薬,他
A
pp.100-101
発行日 1968年6月1日
Published Date 1968/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917500
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アメリカでは現在堕胎は大部分の州で,①妊娠の継続が母体の生命を危殆におとし入れる揚合のほかは認められない。②たとえ奇形児や低能児の生まれることが確実に予想されても,③強姦や近親姦のような不幸な事情のもとに生まれようとしている胎児であっても,生きんとするものの命を人が奪うことはできないと法律は規定するのである。このように取締りが厳しい結果,堕胎を切望する者は必然的にもぐり堕胎技術者に走り,推定で年間百万もの胎児が闇から闇に葬りさられ,さらにそれら業者の拙劣な技術の犠牲者も少なくない。そこでたまりかねたアメリカ法律協会は①に加えてせめて②と③の場合にもこれを許可しようではないかということを提案しているが,大部分の人が今でも①のみに固執するのは人の生命の価値は無限だとする宗教的見地からである。しかし宗教はなにも生命が地上だけに限った存在だとは説明していない。キリスト教の勢力拡張期に各国で起こった旧宗教との軋櫟において輩出した殉難者たちは,今もって聖人視されているが,もし生命がこの世のみに限られるとしたら,かれらがこの世を捨てて神の国にいそいだのは許されるべきでない。かれらは手段を選ばずこの世の生命を尊重し,この世から神への奉仕を続けるべきだった。
アメリカに数年前から経口避妊薬がブームである。この薬を服用していると月経様の周期出血はあって(排卵がないから月経ではない),しかも排卵はない。
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