患者とわたし
おばあさんが手術を拒んだのは
石塚 洋子
1
1元長野県市立S病院
pp.44-47
発行日 1970年8月1日
Published Date 1970/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914973
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主人から,整形外科病棟に知っているおばあさんが入院しているから,見舞いに行ってくれと言われていながら,もうひと月もたってしまった。一面識もないことだし,少しおっくうだったのだ。それに身寄りがないらしいとのこと,もしいろいろ用事を頼まれることになると,今の私には応えるだけの余裕がない。二人目の子どもがおなかにいて,あとひと月ばかりで産休になるのだが,それが待ち遠しくてたまらないところなのだ。
それでもひと月もたつとだんだん気になりだした。相手はもしかしたら私のことを知っているかもしれない。だとしたら来てくれるのを待っているだろう。
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