あなたと法律
恋愛と責任
笠原 郁子
1
1婦人総合法律事務所
pp.132-133
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914858
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恋愛と法律
恋愛は人生の花とさえいわれているが,恋に傷つく人たちも多い。“失恋をしてベットで泣き明かした経験をもつ人でなければ,ともに芸術を語ることはできない”といった有名な詩人の言葉は,恋が傷つきやすいことをしめしたものであろう。
私たちの事務所にもちこまれる相談や事件でも,失敗した恋愛がどれほど人生に苦痛や不幸をもたらすものか,しみじみ考えさせられるものが少なくない。
ところで,恋愛は法律でどのように守られているであろうか。恋人に捨てられたら,法律上不法行為だといって捨てた相手を責めることができるであろうか。たしかに,恋人にすてられた打撃は大きいし,恋人をすてることは道徳的不信行為である。だが,法律的には恋愛関係は,放任行為といって禁止もされないが保護もされない,法がまったく干渉しない関係である。いくら熱烈な恋愛であっても,たとえ肉体関係をともなっていても同じである。単なる恋愛関係である限り法は何の救済もしない,自分自身で乗りこえていかなければならないのである。
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