にっぽんふうぞく裁断
現象と本質の間
亀谷 悟郎
pp.130-131
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914857
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風俗裁断の視点
現代文化のなかに断絶現象が広がっているなどという,いたって抽象的な発言がむずかしい雑誌によくみられる。また新聞や大衆誌にも同じような論法が現われて,「断絶」という言葉を,いたって不明瞭に使うことで,現代の大衆文化現象のすべてをたくみに表現してしまう。あるいはいいあてたように思いこんでいる。
ところが,よく考えてみると「断絶」ということばが,どんな意味を表わしているかというとどうもよくわからない。ただ古いものに背を向けることではないか,意見があわず対立していることであるなどといいのがれてしまう。しかし「断絶現象」のなかには,もっと深いなにかがあり,それが現代文化の根元的な現象であることを多くの人がなんとなく気づいている。一方で,それを「水平現象」と名づけることができるという人々もいる。
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