測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
ハースト現象
富山 哲雄
1
1東京大学分院中央検査部
pp.615-619
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201671
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免疫学者であり,また同時にインフルエンザ学者として著名なSir M. Burnettは"人や動物のウイルス性疾患の制御の実際的進歩のほとんどすべてはE. Goodpastureが発見したウイルスの孵化鶏卵培養という一つの発見に由来している"と述べ,また,National FoundationのG. Dalldorfは,近代ウイルス学の初期の三大技術として"鶏胚を用いる培養法,超遠心法,電子顕微鏡法"をあげてウイルス鶏卵培養法の開発を絶讃している.実際,インフルエンザウイルスの培養がフェレットにとどまっていたならば今日のインフルエンザ学は望むべくもなかったに違いない.
しかし,鶏卵で培養されたインフルエンザウイルスを簡単かつ迅速に定量し,精製を可能にし,更に抗体価を測定する道を開いたのはほとんどHirstの発見にかかる血球凝集反応,すなわちハースト現象をきっかけにしたものであり,Goodpastureの鶏卵培養法と並ぶ業績というべきであろう.HirstはRockfeller医学研究所で鶏卵によるインフルエンザウイルス培養の実験中に,ニワトリの血液とウイルスが混ざって皿の中にこぼれ,そこに血球が凝集しているのを発見した,と伝えられている.時にGeorge Hirst 32歳,1941年のScience誌に第一報をかざっている.
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