続MSWの目
前科9犯の重症結核患者Y
中島 さつき
pp.72
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914845
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北国の春浅いある日のこと,F町担当の福祉主事から保健所のMSWに,前科のあるしかもかなり重症の結核患者Yがいるが,強制入院の手続きをとってもらいたいとの申し入れがあった。
一方F町民生委員会主催の受胎調節指導の集まりに保健婦といくと,目の大きな整った顔立ちの中年の婦人が来た。彼女はT子といい,やせて静かな感じの人で34歳だった。昨年の12月出産し,調節器具と薬品を受け取ると,頼まれてきたのでもう一人分もらってゆきたいという。それでその女のカードに家族名を記入したら,二人の夫はYであった。何かの間違いではないかと問いただしたが,そばにいた町役場の職員がしきりに脇をこずくので,MSWはそのまま品物を渡して帰した。
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