連載 職員の安心を支える病院デカ・24【最終回】
挨拶と優しさは殺人犯の心をも開く
齋藤 辰八郎
1
1株式会社リジョイスカンパニー
pp.1155
発行日 2013年12月10日
Published Date 2013/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102961
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挨拶で犯人の心をひらく
警視庁捜査一課在籍時代のほとんどは取り調べを担当してきました。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが,捜査一課は凶悪犯罪の捜査を担当する部署であります。私の出会った殺人事件の犯人のほとんどは,逮捕されると否認するか黙秘するかでした。事件の解明のためには,犯人に全容を話してもらわなければなりません。自供が得られない事件は,証拠があって有罪判決がおりても犯罪の全容は明らかにならないのです。
犯人のほとんどは,苦しい胸の内を誰かに話したいのですが話せないでいます。そして,この人なら話せるという信頼できる人を心の奥では待っているのです。私が,犯人に信頼される取調官になるために心がけていたことがあります。それが「挨拶と優しさ」でした。
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