講座ICU・1
インテンシブ・ケアー・ユニットとは
佐藤 光男
1
1順天堂大学医学部麻酔学講座
pp.68-71
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914844
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はじめに
呼吸,心臓循環,代謝などのバランスが急にくずれて生命に危険がさしせまり,早急にその改善が必要とされるような患者は決して少なくない。かかる症例を,それぞれの病棟に分散させておくよりは,一所に集めて,ここに十分な看護力と必要な機器を配置し,集中的な治療と看護を行なうならば,従来なら死ぬと思われたケースの救命も可能となり,また能率的でもある。このような目的をもった場所がICUと考えられている。
しかしながら,当院ICUの誕生後満5年間の経験をふりかえってみると,ICUとは決してそのように単純なものでなく,その運営および診療の実際には実にいろいろな問題がふくまれているように思う。少なくとも一人の重患を扱って悔いを残さない診療をするにはどのようにすればよいか,真剣に考えなおす必要がある。この意味からICUの必要とされた背景をもう一度反省し,ICUにおける仕事ならびに性質,あるいはどうあるべきかについて考えることにする。
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