ルポルタージュ・健康探検
患者を苦しめるのは誰だ—SMON(スモン病)・感染説の周辺
平沢 正夫
pp.47-51
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914838
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勤務先に辞表さえ出して…
埼玉県戸田市中島病院で,健康相談をおこなっている保健婦の川村佐和子さん(31)。東大の保健学科を出たベテランであり,全国スモンの会の事務局長格として,欠かすことのできない人だ。「こんどは困りました。私自身,『もういい加減にやめたら……こどもをあずからないよ』と,人にいわれているくらいです。患者さんは,もっとたいへんですよ」小柄の川村さんの表情はどうもあまり冴えない。
“スモン病,ウイルス感染説強まる”──2月6日の朝日新聞は,一面トップに大きい記事をかかげた。──それ以来,川村さんのところに,電話が殺到しはじめた。全国スモンの会には約800人の会員がいる。電話の主は,会員や家族たちだった。
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