セミナールーム・心療内科
ふたたび心療内科とは
石田 行仁
1
1専売公社東京病院
pp.62-63
発行日 1970年3月1日
Published Date 1970/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914807
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感情の動き
最終回にあたり痛切の念に耐えない。思っていることの何分の一も述べられなかった。たとえば,まさに今感じている筆者の感情——その感情については折にふれて述べたにすぎない後悔に伴う感情──その動きについてである。哲学は望まない,affectがほしいというのが女性一般の欲望ではなかろうか。情動の安らぎを人は求めている。好悪は,時に損得を超えるものですらある。いいおとなが好きだ嫌いだといってさわぐ。願や志のない時はことさら。そして病人になる。反対に感情の動きのストップした病人(しかしそれを苦しがるのであるから,感情がまったくストップしたわけではないが)になる時もある。昭和元禄はだれが演出したか(時の流れ?),感情論理の時代といえよう。退行している。
第二次大戦中,高射砲の命中率をよくする努力から,サイバネチックス(舵とりという語源から発した情報化時代の糸口を開いた学問)が生まれた。現代の神話はエルマー氏とエルジー夫人から始まる。エルマーとはElectric-Mechanical Robots(電気工学的ロボット)の頭文字から名づけられた。
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