特別掲載
台北かけ歩る記—護士(台湾ナース)事情など・その2
木島 昂
1
1日本医師会
pp.75-77
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914681
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ニセ医者
台湾には正しい近代医学教育を受けた登録医とともに,昔ながらの漢力医もたくさん開業している。漢方医のなかにはずいぶんといかがわしいニセ医者もいるようだ。これには健康保険制度や薬務行政の欠陥がからんでいる。
先述したように健康保険は2種類しかなく,しかも一定の設備基準や登録看護婦を規定どおりそろえなくてはならないので,保険診療はどうしても官・公立病院(田舎では衛生所)が受けもつことになる。一般開業医は自由診療であり,医療器械や設備投資には巨額の費用がかかるので,いきおい聴診器1本やりの投薬中心主義の医療となり,一般民衆の医学知識の低さと相まって,医療費のダンピングが起こっている。日・祭日もなく,夜も9時10時まで働いているのはそのためである。
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