連載 アーキテクチャー×マネジメント・120
台湾の産後ケアセンター(產後護理之家)
江 文菁
1
1工学院大学建築学部建築学科
pp.10-15
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523770840010010
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■台湾の産後ケア
日本では里帰り出産があるが,台湾では嫁ぎ先(義母)が嫁の産後ケアを担う慣習が古くからあった.この慣習は2,000年前の中国漢王朝時代まで遡ることができ,当時の書物『礼記・内則』に出産前後の妊産婦の食事,行動や儀礼などが記されている.「坐月子(zuo-yue-zi)」という言葉が宋朝時代に初めて登場し,いまだに台湾社会では「産後ケア」を「坐月子」と称している.
現代の台湾では一般的に産後ケアセンターを利用する.台湾政府の統計によれば,2022年には270カ所の「產後護理之家」(産後ケアセンター)があり,同年の出生数約13万人に対し,施設利用者は約11万人注1と,多胎児出産を考慮しても多くの産婦が產後護理之家を利用している.加えて「月子中心」注2や訪問型産後ケアを含めると,アウトソーシングされた産後ケアが普遍化されていることを理解いただけよう.
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