看護の潮 明日の看護婦へ
人間の成長と看護教育—わたくしの看護職業教育論
藤枝 斌
1
1聖路加看護大学・教育学
pp.22-25
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913901
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はじめに
看護婦の不足という社会問題に端を発して,看護教育についての論議が活発である。いろいろの人びとが,それぞれの立場から,看護教育のあり方について意見を述べている。
しかし教育というものは,それがどのような種類の教育であれ,その対象が人間である以上,一個の人間の成長発達という面からまず考えてみなければならない。この点をおろそかにすると,教育がもっぱら教育する側(ここではそれが医師であれ看護婦自身であれ,いずれも)の,いわば一方的な必要から考えられてしまいやすく,教育の対象である人間(ここでは看護学生,生徒)にかえって教育目的が十分に実現できないという結果になってしまう。いま行なわれている看護教育論の多くが,この点をおろそかにして進められているのではなかろうかとわたくしには思われる。看護教育の論議が,資格や制度といった人間の周辺の問題に向けられすぎているようにみえる。
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