歴史の女性
吉岡弥生—東京女子医大の創設者
福地 重孝
1
1和洋女子大
pp.112-113
発行日 1965年12月1日
Published Date 1965/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913820
- 有料閲覧
- 文献概要
おいたちと女医への動機
東京女子医大の前身,東京女医学校を創設した吉岡弥生が,89歳の長寿をもって永眠したのは,昭和34年5月22日であった。黒い被布を着て,デンと座っている彼女の姿は,なみはずれた活動力とそのスケールの大きさを思わせる。葬儀の盛大であったことは,医界では北里柴三郎以来だとの評判もあった。明治・大正・昭和の3代にわたり,女子教育において,5千有余の女医を世に送ったばかりでなく各般の婦人運動,社会事業に女流界の大立物とし活躍した彼女の行動軌跡の大きさを物語るものである。
彼女は廃藩置県の変革のあった1871年(明治4)の3月10日に生まれたので「弥生」と名づけられた。.父は医師を業とする鷲山養斉,母はみせ。彼女の生れた村は現在の静岡県小笠郡城東村で,掛川の宿からやや海岸の方によった,茶畑や桑畑にかこまれた平和な村であった。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.