Medical Topics
ACTHとMSH,他
H
pp.94-95
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913667
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ACTHはAdrenocorticotropic Hormoneの略,すなわち副腎皮質刺激ホルモンで,MSHはMelanocyte Stimulating Hormoneの略,メラニン細胞刺激ホルモンである。ACTHの作用は副腎皮質を刺激して,副腎皮質のステロイドホルモンの分泌を促進せしめ,MSHは皮膚のメラニン細胞に働いて,蛙の皮膚を黒くするが人間でもアジソン氏病の時には血中に増加し,そのためアジソン氏病の時皮膚が黒くなると考えられている。
さてその化学的構造についてはなはだ面白いことがわかってきている。ACTHは39個のアミノ酸が結合してできたポリペプタイドPolypeptideである。その1〜24番目までのアミノ酸は動物の種属にかかわらず同一であるが,25〜32番目のアミノ酸は動物によってことなり種属特異性を形成する。現在ではACTHは化学者により合成も行なわれているが,その化学構造と作用とを比較してみると,実際のACTH作用を表わすためには必ずしも39個全部のアミノ酸は必要でなく,1〜24までのアミノ酸の配列によって十分であることが示されている。一方MSHにはα-MSHとβ-MSHの2つがあるが,α-MSHは13個のアミノ酸,β-MSHは動物により異なるが18〜22個のアミノ酸を有している。
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