連載 新・ナイチンゲール伝・15
誤解されてきたその思想と人間
吉岡 修一郎
1
1久留米大学
pp.68-69
発行日 1965年6月1日
Published Date 1965/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913624
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(前項のつづき)
彼女がこのときの答申でものべているように,当時の看護という概念そのものがひどくお粗末なものであってそれが過去10年間に相当改善され,さらに年々進歩していたとはいうものの,それでも貧民の施療院などでは“看護”とは名前ばかり,実質は何にもないに等しいという状態だったのです。
それについては,ディッケンズもその小説の中で攻撃しているということです。ナイチンゲールの意見によると,個々の施療院の実状そのものよりもさきに,もっと重大なことには,施療院の職員たちや看護婦監督らの,職務に対する考えかたがすでになっていないのでした。彼らは病院管理者としての義務について,何も考えていなかったのです。
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