連載 新・ナイチンゲール伝・22
誤解されてきたその思想と人間
吉岡 修一郎
1
1久留米大
pp.54-55
発行日 1966年1月1日
Published Date 1966/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912596
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46.行動と経験の哲学
結局のところ,彼女の哲学は,哲学者の哲学のような,整然と構築された哲学体系ではなかったのです。彼女はあくまで行動の人だったので,その哲学というのも,いわば行動された哲学であり,社会的な実生活において生きられた哲学でした。それは本来の意味の哲学ではなく,その出発点になる共通の基礎とでも言うべきものだったでしょう。
実社会の社会悪・錯誤・矛盾(不合理)・怠慢などを鋭敏に感受し,解剖し,それをシンラツに表現して人の心に訴え,チュウチョなく対策を立てて,実行に移さずにいられない,というのがナイチンゲールの特質であり本領だったのです。
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