想園
趣味をもつたのしさ
北川 幸子
1
1県立高茶屋病院
pp.71
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913510
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生産的な仕事とは,全く楽しいものである。私は職場を全然離れたところで何かやりたいと思った。そうして趣味をかね,この町で一番小さな養鶏場をはじめた。お客様は9軒である。最盛期は卵の量も30個平均で毎日売りさばけた程であるが,此の年末は赤字の予定なのがちと淋しい。
庭の片隅に,指を金槌でたたき,掌にマメを作りつつ建て増した鶏舎も不格好で,狭い庭は一層狭くなり,アパート中で一番汚いのは嘆かわしいが,これも小さな仕事のうちだけで,そのうちに大きな養鶏場になればどこか広い土地に移転することにしようと思っている。これが私の夢である。病院を辞めてこどもといっしょに日向ぼっこを楽しむ日が来るのも間もない年令になったためかも知れない。
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