医療プリズム
入院か通院か
金子 嗣郎
1
1都立松沢病院
pp.64
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913114
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私の父は老内科医ですが,父の話をきくと,父が働き盛りの頃,金持ちなり政治家・華族などが病気になっても入院などすることはまれで,家に臥床し,おかかえの主治医,つきそいの看護婦がつききりで医療・看護にあたり,週1回ほど帝国大学の教授が往診に来るというのが通例であったようです。ところで今日では,新聞の死亡記事(新聞に死亡記事が出るのですから,相当の社会的地位にあるものと考えられますが)をみますと,ほとんどの人びとが大学病院なり,いわゆる一流病院で死んで行くようであります。
このような推移をすこし詳しく調べてみたいのですが,ここではさておいて,この推移の原因は何かというと,病院というものの持っている社会的機能の変化ということになるでしょう。
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