千万人といえども我ゆかん

“3原則”とは

　皆さんは役人の間に「3ナ原則」という言葉があるのをご存じだろうか。おそらく知る人は知っているだろうし，また知らぬ人は知らぬ言葉だろうと思う。“3ナ”とは，“仕事するナ，喧嘩するナ，休むナ”とこの3つのことだそうだ。すなわちこの3原則さえ守っていれば立身出世まちがいなしというご立派な戒めなのである。

　私も公立病院に籍をおく身なれば，どうやら役人の端くれに入るらしい。私は勤め早々にこの言葉を同僚から聞かされたが，何のことやら最初のうちはあまりピンとこず，大して気にもせず，そのまま聞き流していた。がしかし1年たち2年，3年とたつうちに，ハハーンとおそまきながらこの言葉をいやでも再認識せざるを得なくなった。そして改めてこのご立派ないわゆるお役人根性なるものに敬意を表する次第である。なぜなら身近かにこの3原則を忠実に守った人と，およそ役人らしからぬ役人，すなわちこの“3ナ原則”に終始反逆し続けた人間に接したから，順序は前後するが今回はこの典型的な2つのケースのうち後者の方からお話ししよう。